カテゴリ:不動産売却のお役立ち情報コラム
不動産売却をして新居へ移る際、売主がぜひ知っておきたい特約があります。
それは「引渡し猶予」です。
この記事では、不動産売却時に引渡し猶予を付けたほうがいい理由や、一方で買主にとってはリスクもあることなどを解説します。
不動産売却時のリスクも軽減する「引渡し猶予」を活用したほうがいい理由
「引渡し猶予」とは、不動産売却する売主が自宅の買い換えをするときなどに利用する特約で、引渡し・決済の日に所有権移転登記をして代金も受領するけれど、実際の引渡しは後日にすることを言います。
本来は決済した日に売却物件を引渡ししますが、この特約を用いることで、新住居への入居までの間、売主は居住を続けることができます。
<引渡し猶予の特徴>
引渡し猶予には、通常の売買契約と異なる点がいくつか出てきます。
まず売主と買主が合意し、署名押印する「覚書」の作成が必要になります。
そのほかにも主に費用にまつわることで、覚書きにも記載される内容があるのでチェックしておきましょう。
●猶予の期間
通常は数日~10日程度で設けられることが多く、覚書には具体的な年月日でいつまで猶予されるかが明記されます。
●猶予期間の「賃料」は?
決済日に所有権移転の登記をしますが、猶予期間は売主が支払う賃料は発生しません。
●税金や他の費用はどうする?
固定資産税や都市計画税、また管理費や修繕積立金など、通常は決済日に日割りで精算をおこないます。
しかし引渡し猶予の場合は、引き渡し日を基準に精算します。
光熱費も引渡し日前までが売主の負担で、引渡し後は買主へ移るのです。
●注意点!売主の危険負担や善管注意義務
万一引渡しまでに自然災害などで建物が壊れた場合は、売主の負担となります。
売主には善管注意義務(善良な管理者の注意義務)がありますので、引渡しまで建物や設備の維持管理に注意しましょう。
<不動産売却時に活用したほうがいい理由>
この特約は、売却物件にまだ住宅ローンの残債があり、新住居も住宅ローンで購入する場合に利用します。
理由としては、残債があると新住居の住宅ローン審査が厳しいことや、残債を完済するために自己資金が足りない場合は、売却代金を充てる必要があるからです。
売却により残債が完済できれば、ダブルローンのリスクも回避できます。
また猶予により、1度の引越しで済むので、賃貸など仮住まいの用意も必要なくなります。
いずれにしても売主にとって有難い特約と言えます。
不動産売却時に利用する引渡し猶予が買主に与えるリスク
引渡し猶予は、支払いや所有権移転登記も済んだ買主に、売主の都合に合わせて協力してもらっていると言えるかもしれません。
買う側から見ると、引っ越しまでに時間がかかるリスクや、売主が購入する新居の住宅ローンに落ちた場合などは猶予期間が長くなる可能性があります。
特約をリスクと感じてしまうかもしれない買主に理解と同意をしてもらうためにも、きちんと説明ができる不動産会社をパートナーに選ぶことも大切です。
まとめ
不動産売却時に付けられる引渡し猶予は、売主にとっては利点のある特約ですね。
しかし買う側にとってはリスクがあるなど微妙なところもあり、価格交渉に影響する場合もあるので、特約を希望する場合は不動産会社に早めに相談しましょう。